ヨーロッパのお城の室内を想定した空想の背景画を描いてみました。紙に鉛筆で線画を描き、スキャナーで取り込んだ画像にphotoshopで着色をしました。この絵も大学時代に就職活動用として描いた古い絵ですが、線で形をとって色を塗るという最も基本的な描き方をしたもので、背景を描きたいという方の参考になるかと思います。三点透視図法でパースを取っており、装飾のデザインも緻密で複雑な絵に見えるかもせれませんが、分解してシンプルに描き方の手順をまとめてみました。
鉛筆・シャープペンの線による背景の作画
パースを描く
絵の全体イメージ(どんな構図でどこの位置からどんな角度で見せるか)を考えた後、空間の遠近感や家具の配置を描くのに必要な、パースを引きます。
今回の絵は、消失点が3つの三点透視図法で描きました。青い線が、カメラが背景を写している場所(この背景を見ている位置)です。水平方向の赤い点・ピンク色の点、下方向の橙色の点が消失点です。これらの点に集約される線が、建物の柱や壁の角度を決めるパースのラインになります。
パースに沿ってモノを描く
赤い面の壁の装飾や床は赤い線に沿って描きます。ピンク色の面の壁の装飾や床は縦方向のピンク色の線に沿って描きます。縦方向に伸びる柱や壁は黄色の線に沿って描きます。ヨーロッパの城の内部の写真集を参考にしながら描いていきました。家具や部品といった意匠のデザインを部分的に参考にして、室内のデザインや配置は自分で考えて描きました。(写真をそのまま写した絵ではありません。)パースに沿って大まかな線で形のアタリを取った後、細部の装飾を描いていきました。この線画は、物体の形を重視して描いており、陰影は付けていません。使った画材は、画用紙と普通のシャープペンです。
Photoshopによる背景の着彩
光と陰影を意識して色を塗る
光と陰影の位置を考えながら着色をします。室内中央の上部にあるシャンデリアの光(白色)が主光源で、光の当たらない部分に陰影(青紫色)を塗っていきました。シャンデリアの下に位置する床や階段は明るくし、光の届かない階段の側面や奥まった空間は暗くしています。色を使ってデッサンしていく感じで進めていきました。四角い物は角ばらせて、丸い物は丸みを帯びさせて描き、手前ほど物が飛び出して見えるよう描き込みを行う…といった具合です。
配色バランスを考えて色を塗る
画面全体の色の組み合わせや色の流れの美しさを意識して着彩していきます。今作は、くすんだ青紫色から茶色・オレンジ色・黄色・白色までの色みをメインに使ってみました。また、色みに加え、明度や彩度も調整します。見せたい部分(目が行く部分)の明度や彩度を上げたり、逆に押さえたい部分を下げたりしていきます。今作は、豪華に輝くシャンデリアは特に明彩度を上げて描き、シャンデリアから遠のくほど空間の明彩度を下げて描きました。
陰影の後は質感を出しながら描いていきました。鏡の壁には映り込みを描き、反射の強い質感の物体にはキラッとした鋭い光を加えたりしました。線画はあえて消さずに、味として残しました。最後、空間の広がりを感じさせるために、大小の差をつけた蝶を配置しました。シャンデリアの金の描き込みがいまいちですが💦全体的にゴージャス感あふれる室内の絵になったかなと思います。
高解像度画像はギャラリーにおいてあります。
●イラスト・絵画「竜宮の室内(背景画)」を描きました。
●イラスト・絵画「竜宮(背景画)」を描きました。
●イラスト・絵画「祭の鼓動(背景画)」を描きました。