デッサンの基本となる人物の顔の描き方について説明します。発泡スチロールでできたマネキン人形の頭部を描いてみました。石膏像のような複雑な形状をしていないので、人の顔を描いてみたい初心者の方にお勧めのモチーフです。鉛筆とA3画用紙とねり消しゴムを使って描きました。
今回のモチーフは、100円ショップのダイソーで販売されている600円のマネキンヘッドです。ちょっと目が大きめで顎がほっそりしていますが、きれいな顔立ちのマネキン人形です。(このマネキンは、ダイソーの大型店によく置いてあります。)左上からライトを照射しました。
構図を決める
モチーフの中心を見つける
鉛筆をもって腕を伸ばします。腕はモチーフに対して直角に保ちます。片目をつぶって、片目でモチーフを見ながら縦横幅の比率を図っていきます。(鉛筆をいわば定規代わりとして活用します。)
縦方向の中心:地面との接地面の一番下の部分から頭の天辺までの間で、中心は下唇あたりであることがわかります。
横方向の中心:人形の右肩から左肩までの間で、中心は顎のあたりであることがわかります。
モチーフの大きさを定める
人形の上下左右の中心を、画用紙の中心に当てはめて考えていきます。今回のモチーフは縦に長いので、まず、マネキンの上下が切れないように画面に入れることを考えます。画用紙の上下の余白は1cmくらいになるようにして上下の端に印をつけます。次に、モチーフの左右の端に印をつけます。これで、マネキンの大まかな大きさが定まりました。
細部パーツの位置を割り出す
縦方向の比率:上下の端からモチーフの中心までの距離(×)を念頭に入れながら、目・鼻・口・顎の距離がそれぞれどのくらいかを割り出して印をつけます。
横方向の比率:左端からモチーフの中心までの距離(×)を念頭に入れながら、左端から額までどのくらいの距離かを割り出して印をつけます。また、右端からモチーフの中心までの距離(×を念頭に入れながら、右端から頭部までの距離がどのくらいかを割り出して印をつけます。
細かいパーツの位置情報が定まったら、それらこから少しずつ細部を描いていきます。できるだけ、輪郭で描くのではなく陰影で描いていきます。
大まかな陰影をつける
軟らかい鉛筆でさっと陰影を描く
2B、3Bくらいの軟らかい鉛筆を使って、全体に軽く陰影をつけます。できるだけ形状の流れに沿ったタッチで描くのが望ましいです。
陰影を塗り分ける
①奥まった部分の陰を擦ってぼかす
顔の奥行きと首の奥行き部分は陰になっています。手前に飛び出して見えてはいけない部分なので、鉛筆で塗った部分をガーゼなどで擦り(画用紙の目に鉛筆の芯を擦り込み)色を鈍らせます。鉛筆をピタッとさせます。床に落ちる影も、擦って落ち着かせます。
②光の当たる面と奥まった部分の陰の境にできる濃い陰を描く
鉛筆で擦った後、一番濃い陰を描きます。こちらは擦らず、鉛筆の目が潰れないように鮮やかな黒を残して描きます。基本的に、ガーゼなどで擦った部分はそのままにせず鉛筆でさらなる描き込みを入れます。
鉛筆を使い分けて描く
①明るい部分
手前の方はB、2Bくらいの軟らかい鉛筆で塗るといいです。奧まった部分はH系の硬い鉛筆で塗るといいです。奧へ行くほどタッチが目立たないように塗るのがポイントです。
②手前に位置する暗い部分
2B、3Bくらいの軟らかい鉛筆で濃く塗るといいです。鼻、口、顎、頬付近は手前に飛び出して立体的に見えるようにタッチを意識して塗ります。細部の描き込みを行う際にハッチングで硬い鉛筆を使うのはOKです。
③奧に位置する暗い部分
H前後の硬い鉛筆で塗ります。ぼさぼさしたタッチは手前に飛び出して見えてしまうので、タッチが目立たないようにカッチリ塗ります。
細部を描き込む
タッチを入れて描く
完成
全体感を大事にしながら、細かな調子を整えていきます。手前が飛び出して見えるように、手前ほど描き込むといいです。画用紙の余白の汚れをしっかり消しゴムで消したら完成です!
今回のモチーフは、石膏像のような複雑な髪の毛のない人間の素体なので、すごく描きやすかったように思います。しかも左右対称の形状なので、初めて人物をデッサンする方にはいいモチーフかと思います。
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↓デッサン上達の近道は、達人のデッサンの制作過程をしっかりと見ることです。
●綺麗な女性の顔の描き方
●マンガ・アニメ調のキャラクター(初音ミク)の顔を描く
●立方体をデッサンする
●円柱をデッサンする
●球体をデッサンする
●手をデッサンする
●立体物を点と線と面で捉える
●人物をパースで立体的に捉える
●人形をベースにして色々な角度で人物を描く
●デッサンを学ぶ
●鉛筆デッサンに必要な道具