トーンとは色の階調、タッチとは筆跡のことです。デッサンではこの二つの要素を駆使して無限の表現を行っていきます。
鉛筆のトーン
2Hから6Bまで順番に鉛筆を使って、同じ力の強さで塗っていきました。図の左へ行くほど鉛筆が硬いので薄い色が出ます。図の右へ行くほど鉛筆が柔らかいので濃い色が出ます。(硬い←2H…⇔…6B→柔らかい)
グラデーションを作る練習をしてみましょう!
鉛筆デッサンは、黒一色の明度差で物の陰影・固有色を表現します。よって、明度を自在に表現できることが重要です。白から黒まで順々に色が濃く変化していく、帯状のスケールを描く練習をしてみましょう。細かい明度差が描けるようになったらOKです。また、鉛筆の硬度の差もつかめるように、硬い鉛筆と柔らかい鉛筆の二種類で描いてみましょう。
↓ステッドラーの鉛筆セット。4H~6Bまでの鉛筆12本入り。
↓ハイユニの鉛筆セット。10H~10Bまでの鉛筆22本入り。
硬い鉛筆と柔らかい鉛筆の特色を知る
Hと3Bの鉛筆で描いたグラデーションを比較してみて下さい。だいたい同じ力加減で塗ってみました。同じ力を入れても、Hは硬いので3Bほど濃い色が出ません。そして、塗った感じがペタッとしています。一方、3Bは柔らかいので濃い色を出しやすいですが、薄い色を表現した時の鉛筆の定着が弱く、ある程度力を入れないと塗った感じがボサボサしてしまいます。よって、以下のことが言えます。
■硬い鉛筆は薄い色を出すのに適している。(白っぽい固有色、光の当たる部分)
■柔らかい鉛筆は濃い色を出すのに適している。(黒っぽい固有色、影色)
■硬い鉛筆はツルッとした質感を表現するのに適している。(お皿、ガラス等)
■柔らかい鉛筆はザラついた質感を表現するのに適している。(木の幹、タオル、ぬいぐるみ等)
デッサンでは、鉛筆の硬さを使い分けて、色や陰影そして質感を表現することが大切です。
鉛筆のタッチ
様々な表現をしてみましょう!
鉛筆はトーンだけでなく、使い方次第で色んな質感的や印象を表現することが可能です。鉛筆の塗り分けは物の描き分けに必要ですので、色々と試して特性をつかんでみてください。
鉛筆を立たせて描く
①Hの鉛筆 …鮮明で固い印象。/③3Bの鉛筆 …強く引き締まった印象。
鉛筆を寝かせて描く
②Hの鉛筆 …固く引き締まった印象。/④3Bの鉛筆 …粗く柔らかい印象。
鉛筆を加算させる(重ねる)
⑤①+③ …鮮明で軽い印象。
⑥④+① …ぼやっとしながらも引き締まった印象。
⑦④+② …ぎっちりしていて重い印象。
鉛筆を減算する(擦る・消す)
⑧ティッシュで擦ったもの …鈍くてぼやけた印象。
⑨ねり消しゴムで消したもの …ほんわかして柔らかい印象。
⑩プラスチィック消しゴムで消したもの …きりっとしたシャープな印象。
色んなタッチで、様々な表現を生み出せます。また、使う鉛筆の硬度によって印象も変わってきます。
●鉛筆を立たせて描く
●鉛筆を寝かせて描く
●直線を描く
●曲線を描く
●点で描く
●線で描く
●面で描く
●方向をそろえて描く
●バラバラな方向で描く
様々なトーンと様々なタッチを駆使して、あらゆるものを表現できます。まずは鉛筆の特性を知って、モチーフごとに表現を使い分けるように試みてください。とにかくたくさん描いてみるのが大切です。
↓鉛筆の練習帳として使えるスケッチブックです。
●デッサンを学ぶ
●鉛筆デッサンに必要な道具
●デッサンや着彩に必要な備品
●静物デッサンで質感を描き分ける
●水彩色鉛筆で様々なイメージを描く