アジア風ファンタジーテイストの宮殿の絵を描いてみました。背景画です。紙に鉛筆で線画を描き、スキャナーで取り込んだ画像にphotoshopで着色をしました。最初からデジタルペイントで直接描くのでもいいのですが、細部のデザインを目的とするような絵の場合は、線画を固めてから着彩する方法がよかったりします。
photpshopによるデジタルペインティング
ラフ画を描く
様々な資料を見ながらアイデアを膨らませ、スケッチブックにひたすらイメージを描きます。今回は、中国や日本などアジアンテイストの建物をモチーフにして色々なデザインの組み合わせを考えていきました。建物も地形も、起伏に富んだ形状の方が劇的で面白く見えるので、あえて凸凹感のある構成にしてみました。
ラフ画ではパースなどの正確性は後回しで、デザインのイメージを第一に描きます。建物の形状や絵として入れるモノ、一枚絵の中に対象物をどの角度から映してどこを切り取るかということを考えます。だいたいイメージが固まったら、粗くていいのでいくつか簡単な一枚絵を作ってみて、その中から一番よいものを選びます。
また、この段階で、着彩のイメージも頭に入れて描くといいです。配色のバランス上、必要になる物を描いていくということも大事だからです。今回の作品は劇的で力強い印象を出したかったので、反対色の効果を利用し、冷たい海の青色と燃えさかる溶岩の赤色をぶつけることを狙って、絵を構成しました。
鉛筆で線画を細部まで描く
パースをしっかり取ってから、正確に建物の形状を描いていきます。(三点透視図法で描いています。)
細部のデザインをここでしっかり決めて描いておくと、後の塗りが楽です。最後は複数の線を精査し、いらない線を消して主線だけを残します。完成したら画像をスキャナーで取り込み、データ化します。
photoshopによる着彩
絵の全体の色は、青紫色⇔赤色までの幅の広い色の流れを使った構成とすることにしました。
着彩の手順は、陰影をつける/固有色をつける/質感をつける…といったように、同じ作業をまとめながら順番に行うと効率的です。
陰影を描く
建物の後ろの上の方から光が当たっていると設定し、建物や岩の陰影を青紫など寒色系の色で塗りました。
固有色を塗る
青銅の屋根、白壁、朱塗りの模様に色をのせていきます。線画の中を塗るだけなので簡単な作業です。
質感をのせる
固い瓦、凸凹した岩などの写真素材を絵に合成します。デジタルの塗りだけだと薄っぺらい絵になってしまうので、絵に重厚感を出すためにも写真を使います。
光を描く
光がより強く当たっている部分をより明るく描きます。金の素材でできてる部分には、鋭いきらめきを追加します。溶岩の赤い光も追加しました。特に輝度差の大きい部分には、キラっとした鋭い光(グレア)を描き込みます。
エフェクトを描く
溶岩の煙、霧などを描いて、絵に動きを出します。
全体の調整
全体の空気感を統一するために、光り輝く空や霧の写真素材を絵の全体に重ねて調整します。一つの絵として成り立っている素材の色みや描画情報を絵の全体に散りばめることで、全体の雰囲気をまとめることができます。
完成
完成した絵の全景は、ギャラリーにおいてあります。
線画をしっかり描いて塗る方法だと、着彩がすごく楽です。…しかし!絵を描くスピードとか絵の印象を重視で描きたい場合は、線画を描かずに直接ペイントツールで描いた方がよいです。大まかな立体感や空気感をざっくり描き進め、気になった細部だけ描き込んでいく方がこの場合は理にかなっているからです。
写真などの素材を用いて背景画を描く場合はこちら↓