デッサンとは何か~デッサンのポイントを知る~

絵を描いたり物を作ったりする上で最も基本となる「デッサン」についてご紹介します。純粋に絵が上手くなるポイントをまめてみましたので、初心者の方もぜひご覧ください。

▼目次
  1. デッサンとは
  2. デッサンとその他の描写との比較
  3. デッサンを学ぶメリット
  4. デッサンのポイント


デッサンとは

美術やデザインの道を志す人は一般的に、全ての造形の基礎となるデッサンを習います。絵描きや画家だけでなく、工業製品のデザイナーや建築家など、物を作る仕事をする際に必要となってくる共通の概念です。美大受験ではほぼ、アカデミックなデッサンの試験があります。

デッサンといえば、鉛筆や木炭で白い石膏像を描く、ということを思い浮かべる人が多いと思います。が、デッサンはモノクロで描かれたものだけを指すものではありません。(着彩された平面作品や立体作品を指して、デッサンが合っている/狂っていると言ったりもします。)

デッサンとは、対象となる現物を視覚で捉え、形、立体感、陰影を正確に二次元に落とし込むとです。

※「現物」とは写真などの印刷物ではなく、現実に存在する物です。自分の目で見た本物です。

※「二次元」とは、画用紙、モニタ画面等、平面の媒体です。

 

2017-dessin-drawing02

デッサンとその他の描写との比較

デッサン(仏:dessin, 英:drawing

対象物の形状、立体感、陰影などを時間をかけて正確に描写すること。

スケッチ(英:sketch)

対象物の印象を捉えて大まかに描写すること。短時間で描いて簡潔に伝える絵です。デッサンより時間をかけず、クロッキーよりも時間をかけて描きます。

クロッキー(仏:croquis)

対象物の形を瞬時につかんで輪郭で描写すること。アニメの作画がイメージに近いです。

模写

写真や絵画作品を真似して描写すること。どんなにリアルに描写しても、実物を見て描かないのでデッサンではありません。


デッサンを学ぶメリット

純粋に絵が上手くなります。。オリジナルの造形物を生み出す際に、人や物の構造その他デッサンの要素を踏まえて描くと、リアリティーが生まれます。…つまり、説得力のある造形物が生み出せるようになります。絵画でも、彫刻でも、グラフィックデザインでも、工業製品のデザインでも、デッサンは生かされます。

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デッサンのポイント

デッサンに欠かせない必須項目をまとめてみました。普通に絵を描く上でも大事な要素です。

構図の美しさ
形状の正確さ
パースの正確さ
バルールの正確さ
陰影の正確さと美しさ
色と質感の正確さと美しさ


構図の美しさ

2017-dessin-composition01

デッサンする時にまず最初、画面構成を考えます。画面に対する対象物の入り方です。構図は途中から変更はできません!なので、最初から正しい構図で描いていく必要があります。サンプル作品では、石膏像、ビン、洋ナシ、リンゴが主役なので、それらを画用紙の中央に配置するようにします。

絵の主役となる対象物を画面の中心におさめる。

対象物の接地面は全て画面内におさめる。

石膏像の顔は画面から切れてはならない。頭は切れてもよい。


形状の正確さ

2017-dessin-figure01
物の長さや比率や角度を正確に描きましょう。そっくりそのまま描写します。


パースの正確さ

2017-dessin-perspective01
物の奥行きを正確に描きましょう。物は縦、横、高さ、全てにパースがかかっています。例えばコンクリートのブロック。縦は縦、横は横で直線のラインを結んだ先に、ラインが一つに交わる消失点が存在します。高さ方向にも消失点がありますが、静物画のスケールでは高さ方向にパースはほとんどかかりません。(建物などスケールの大きなものは、高さ方向にも大きくパースがかかります。)

透視図法(パース)について


バルールの正確さ

2017-dessin-valeur-value01
空間における物と物の位置関係を正確に描きましょう。手前の物は手前に、奥の物は奥に見えるように描きます。「バルールが狂っている」と言われた時は、手前と奥の物の陰影のつけ方や、明暗の調子問題があったりします。一番手前にあるものは一番飛び出して見えるように描きます。奥へいくほど空気感を感じ取れるような描写ができるといいです。

カラー作品ですが参考にどうぞ↓
イラスト・絵画「キツネ」の絵を描きました。


陰影の正確さと美しさ

2017-dessin-shadow01
物というのは、面に光が当たって陰影を生み出すので立体的に見えます。ライティングの光源を見極め、対象物の一番明るい部分と一番暗い部分を意識してから、その間の陰影のトーンに幅を持たせて美しく表現します。目を細めてみると、大まかな陰影の全体感がつかめます。

立体物を点と線と面で捉える


色と質感の正確さと美しさ

2017-dessin-color-texture01

物の持つ固有色を、モノクロに置き換えて着色します。色は、色相・明度・彩度によって濃淡が変わってきます。

質感

柔らかいのか固いのか、ツルツルしているのかゴツゴツしているのか、といった手触り感を描き分けていきます。ガラス瓶など光の反射率が高い物には、キラッと光った描写をします。

静物デッサンで質感を描き分ける


5H~8Bまでの鉛筆と、ねり消し・カッター・擦筆など、デッサンに必要な道具がひととおり揃っている人気の商品です。収納ケース付き。初めてデッサンをする人におすすめです。


↓鉛筆だけならステッドラーがおすすめ。4H~6Bまでの鉛筆12本入り。美大受験生などの学生が使う定番の鉛筆です。


↓デッサン上達の近道は、達人のデッサンの制作過程をしっかりと見ることです。


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絵は一般的に感性的な分野と捉えられますが、特にデッサンは、半分は論理的な分野だと思います。形状やパースには、絶対的な答えがあるからです。逆にいうと、そのルールを知れば絵が上達し、絵が描けるようになります。後は感性と技術の問題です。自分が美しいと思った部分を徹底的に突き詰めて描けば、きっと魅力的な絵になるでしょう。

鉛筆デッサンに必要な道具
デッサンや着彩に必要な備品
鉛筆のトーンとタッチ
初心者のデッサンのすすめ方
立方体をデッサンする
円柱をデッサンする
球体をデッサンする
マネキン人形の頭部と顔をデッサンする
手をデッサンする

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